樹木葬とは?メリットとデメリット
近年、新しい埋葬方法として「樹木葬」が注目されています。樹木葬には、費用やお墓の管理など様々なメリットがある一方で、デメリットも存在するため、それぞれ理解することが重要です。
本記事では、樹木葬とは何か、用いられる樹木の種類や具体的な埋葬方法、メリット、デメリットについて解説します。
1.樹木葬とは?
樹木葬とは、お墓を建てる代わりに樹木を目印とする自然葬の一種です。「自然と共存する」という理念の元で行われる埋葬方法で、埋葬後の遺骨が徐々に土へと帰り、周囲の環境と溶け合うという考え方が基盤となっています。そのため、墓石ではなく木や草花に手を合わせることが特徴です。近年では「自然に還りたい」「管理の手間を減らしたい」といった理由から、都市部を中心に樹木葬が注目されています。
2.樹木葬の埋葬方法
樹木葬の埋葬方法は、大きく分けると「個別埋葬」と「合祀(ごうし)」の二種類に分かれます。個別埋葬は、1本の木の下に1家族、または1個人の遺骨のみを埋葬する方法です。一方で、合祀は他人の遺骨もまとめて一か所に埋葬する形式です。いずれの場合も、遺骨は骨壺のまま、もしくは専用の入れ物に入れて埋葬することが一般的ですが、遺骨を直接土に還す場合もあります。墓石を持たないため、公園や霊園にスペースを設けて樹木葬を行います。
3.どのような種類の樹木がある?
樹木葬には、四季の変化を感じられる木を用いることが多いです。春に花を咲かせる桜は人気があり、紅葉が楽しめるモミジや、幹が太く生命力の象徴とされるケヤキもよく選ばれています。また、ツバキやサザンカのように緑が生い茂る木を選ぶと、墓地が寂しくなりません。どんぐりをつけるシラカシや、平和の象徴とされるオリーブなど、自然の豊かさを感じさせる木も人気です。その他、果樹を植えるケースもあり、柿や梅の木は、実をつけたり花を咲かせたりするため、お墓参りに来た際には四季を感じることができます。
4.樹木葬のメリット
樹木葬は墓石と比べてシンプルな埋葬方法です。そのため、墓石を建てる従来のお墓よりも比較的費用を抑えることができます。プラン内容によっては、年間管理費がかからない霊園もあります。また、お墓を管理する負担も少なく、子どもがいない家庭や子どもが遠方に引っ越してしまって後継者がいない場合でも安心です。さらに、墓石とは違って緑に囲まれながら末永く眠れるという点も魅力の一つです。四季によって移り変わる木の変化を感じながらお墓参りをすることで、心が安らぐという方もいらっしゃいます。
5.樹木葬のデメリット
樹木葬は墓石がないため、従来のように個々の名前が刻まれた「形」を残せないことを物足りなく感じる方もいます。また、合祀で埋葬を行う場合には、埋葬後の遺骨が他の人の遺骨と同じ場所で眠ることになるため、遺骨を取り出すことは難しくなります。その土地の環境や天候によっては樹木が枯れるリスクもあり、自然に左右される条件については対策が難しいです。現在、樹木葬を取り扱っている霊園は増えているものの、地域によってはアクセスが悪く、足を運ぶ頻度が少なくなっていく可能性もあります。
6.樹木葬の費用相場は?
樹木葬にかかる費用は、20万円から150万円と幅広く、墓地の立地や樹木の種類、埋葬方法、管理の仕方によって金額が異なります。都市部にある霊園やアクセスの良い場所では価格が高くなる傾向があり、自然に囲まれた郊外の霊園では比較的リーズナブルな価格である場合が多いです。なるべく費用を抑えたいという方は、「永代供養」付きのプランを選ぶことがおすすめです。一般的なお墓では年間の管理費用が発生しますが、永代供養が含まれているプランであれば、管理費が追加されることなく永続して管理をしてもらえます。樹木葬の費用は、霊園ごとの契約内容によって異なるため、契約前に内訳を確認しておくことが重要です。
7.家族と話し合って決めることが大切
お墓を選ぶ際、本人が希望するスタイルだけでなく、家族の考えも尊重することが必要です。樹木葬を選ぶことで、自然に還るという理念の元で供養を行うことができますが、慣れ親しんだ墓石が良いという意見もあります。樹木葬はまだ世間に浸透していないため、イメージがしにくいという方もいらっしゃいます。樹木葬にするか悩んだら、メリットとデメリット、費用や管理の仕方を含めて、家族と十分に話し合った上で決定することが大切です。最終的には、故人と家族の双方が納得のいく形で供養を行うことが一番の理想の形です。
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